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相続で未登記建物を放置するリスクとは?手続きの流れや注意点も解説

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相続で未登記建物を放置するリスクとは?手続きの流れや注意点も解説

相続で未登記建物を放置するリスクとは?手続きの流れや注意点も解説

2024/05/10

遺産相続の際、問題として挙がるのが「未登記建物の相続」です。未登記建物の相続時は、必要な手続きをおこない正しく相続を進める必要があります。手続きが面倒だからといって未登記建物を放置すると、トラブルのもとにもなりかねません。

そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。

 

  • 未登記建物の概要や相続との関係
  • 未登記建物を放置するリスク
  • 未登記建物を相続するときの流れ
  • 未登記建物の相続で注意すべきこと

 

この記事を読むことで、未登記建物の相続について理解を深めることができます。未登記建物の相続でお悩みの方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

未登記建物でも相続対象となる

未登記建物は、正式な登記がされていなくても相続の対象になります。建物が法的に相続する財産に含まれるとされるためです。

未登記建物を相続する場合、相続人は必要な手続きを進めなければいけません。特に、法務局への表題登記が義務となります。

建物は基本的に登記の対象

建物は、基本的に登記の対象です。

建物の新築時に、所有権を取得した日から1ヶ月以内に表題登記をおこなうことが義務付けられています。表題登記により、登記事項証明書の表題部分に、建物の所在地・構造・所有者などの情報が記載されます。

また、登記をおこなうことで、所有権の主張が第三者に対しても有効となり、法的な保護を受けることが可能です。この登記は、所有権移転や抵当権の設定など、他の法的手続きの基盤ともなります。

なぜ未登記の建物が存在する?

建物は登記は必須でおこなわれるべきですが、未登記のままの建物が存在するのも事実です。

登記がおこなわれない主な理由として、所有者が新築後すぐに亡くなってしまった場合があります。所有者が亡くなることで、登記が適切におこなわれずに放置されることがよくあります。

また、ローンではなく自己資金で建設された建物においても、登記手続きが後回しにされ、最終的には忘れ去られることも少なくありません。なかには、税金の徴収を避ける目的で故意に登記をおこなわない場合もあります。

 

未登記建物かどうかの確認方法

未登記の建物かどうかは、固定資産税の課税明細書で確認が可能です。

登記されている建物は、家屋番号が明細書に記載されていますが、未登記の場合はこの番号が空欄になっているか、未登記と記載されていることが多いです。また、建築当時に必要な建築確認申請がおこなわれていない古い建物では、表題登記もなされていない場合があります。

地方自治体は建物の存在を把握し、固定資産税を徴収するために空撮や巡回調査を実施しており、未登記のままでも固定資産税が発生しているケースも少なくありません。

課税明細書が手元にない場合は、市区町村の名寄帳を通じて、家屋番号の有無を確認することも可能です。

 

相続登記手続きとの違い

通常の不動産の相続登記では、亡くなった人の名義から相続人への所有権移転登記が行われます。しかし、未登記建物の場合、まず建物の存在自体を登記する「表題登記」から始める必要があります。

特に古い建物では、表題登記のために必要な資料が見つからないこともあり、手続きが複雑化します。相続人は、表題登記の完了後に所有権移転登記を進め、正式に不動産としての手続きを完了させる必要があります。

 

2024年4月1日以降相続登記が義務化

2024年4月1日から、相続登記が法的に義務付けられます。これまでは相続登記は任意でおこなわれていましたが、所有者不明の不動産増加にともなう以下のような社会問題を解決するため、法律が改正されました。

 

  • 公共の利用に必要な土地の取得が困難になる
  • 必要な災害対策が施せない
  • 不動産の取引がスムーズに行えない

 

相続登記義務化に伴い、不動産の相続が発生した際には、相続の事実を知った日から3年以内に相続登記をおこなう必要があります。相続登記を怠った場合、最大で10万円の過料が科される可能性があるため注意しなければなりません。

また、義務化の施行日以降に発生した相続だけでなく、義務化以前に相続された未登記の財産にも適用されます。相続人が遺産分割協議を終える前に期限が迫っている場合は、「相続人申告登記」という手続きを利用することで、過料を回避できる可能性があります。


関連記事:未登記建物は相続登記義務化の対象?未登記の罰則の可能性について

未登記建物を放置するリスクとは?

では、未登記建物を放置するとどのようなリスクが生まれるのでしょうか。今回は、以下の7つに分けて未登記建物を放置するリスクを解説していきます。

 

  • 表題登記をしてないと過料が発生する
  • 建物の売却が難しくなる
  • 第三者に所有権を主張しづらくなる
  • 融資のとき担保にできない
  • 建物が建っている土地の固定資産税が高くなる
  • 過去に遡って固定資産税を請求される可能性がある
  • 放置すればするほど相続が複雑になる

 

それぞれみていきましょう。

表題登記をしてないと過料が発生する

表題登記は法律で義務付けられており、登記を怠った場合、違反者には10万円以下の過料が課されることがあります。この規定は、建物の所有者に対し登記の実施を促すために設けられています。

未登記の建物を相続した場合、法的な義務を果たさなければ過料の対象となるため、速やかな登記申請が必要です。

建物の売却が難しくなる

建物の売却時、通常は所有者移転に伴う登記を実施する必要があります。しかし、建物が未登記のままでは所有者の移転ができず、建物の売却が困難となります。

また、建物の買主は正式な所有権が売主にあるかどうかを確認できず、売買取引自体を怪しまれてもおかしくありません。建物の売却をスムーズにおこなうためにも、正式な建物の登記が必要です。

 

第三者に所有権を主張しづらくなる

未登記建物は、法的に所有権の証明が困難です。登記されていないために、建物の正式な所有者が誰であるかが不明瞭になり、第三者による不当な権利主張のリスクも高まります。

第三者への所有権の主張が難しくなることで、建物の売却や相続など、さまざまな法的手続きにおいて問題となる可能性があります。

 

融資のとき担保にできない

未登記建物は、金融機関からの融資を受ける際に担保として使用できません。建物が登記されていないことで、抵当権設定登記ができないためです。

加えて、未登記建物が建つ土地のみを担保とすることも基本的にはできません。金融機関は、融資の際に回収リスクを最小限に抑えるため、担保として適切な登記がされている不動産を求めるためです。

融資を受けることを検討している場合は、早めに表題登記を済ませる必要があります。

 

建物が建っている土地の固定資産税が高くなる

登記の有無に関わらず、建物の所有者は固定資産税を納める義務があります。未登記の建物でも、固定資産税を免れることはできません。

実際、自治体は現地調査を通じて建物の所有者を特定し、固定資産税の支払いを求めるケースがあります。さらに、未登記の建物では建築されている土地に対する税金軽減措置を受けられないため、通常より高額な固定資産税を支払うことになる場合があり注意が必要です。

 

過去に遡って固定資産税を請求される可能性がある

未登記建物が発見された場合、地方自治体から過去に遡って固定資産税の支払いを請求されることがあります。固定資産税の請求は建物が建てられた時点から現在までの期間にわたり、未納の税金を一括で求めることができるため、大きな金額になる可能性が高いです。

長期間にわたって未登記の状態が続いている建物では、その税額が高額になることが予想されます。

 

放置すればするほど相続が複雑になる

未登記建物を相続する際、所有者が多数いる場合や、相続人の所在が不明な場合には手続きが複雑になります。相続人が複数いる場合は、相続の内容に対して全員の合意を得る必要があり、一部の相続人が所在不明の場合は、戸籍を辿って現住所を特定する作業が必要です。

また、相続人がすでに亡くなっている場合は、その相続人の子どもや配偶者が新たな相続人となるため、手続きがさらに煩雑になります。このように、未登記の建物を長期間放置すると、相続時に必要な書類の紛失や情報の古さから、手続きに多大な時間と労力が必要となります。


関連記事:【徹底解説】法定相続人と連絡が取れないときの相続の進め方・対処法

未登記建物を相続するときの流れ

未登記建物でよくあるのが、未登記建物を相続後に必要な手続きをおこなわず、放置してしまうというものです。そこでここからは、未登記建物を相続するときの流れを以下の手順に沿って解説します。

 

  1. 遺産分割協議をおこなう
  2. 遺産分割協議書を作成する
  3. 表題登記をおこなう
  4. 所有権保存登記をする

 

手続きの流れを正しく理解し、未登記建物の放置を防ぎましょう。

 

遺産分割協議をおこなう

相続が発生した際には、相続人全員で遺産分割協議をおこなう必要があります。特に未登記建物が遺産に含まれる場合、事前に以下の資料を用意しておくことが重要です。

 

  • 固定資産税の課税明細書
  • 課税台帳(名寄帳)
  • 固定資産評価証明書
  • 建物の設計図や図面
  • 建物の所有を示す書類(例:建築確認通知書)

 

未登記建物を相続する場合、建物が建つ土地もセットで相続対象となり、相続税が高くなるケースが一般的です。未登記建物の場合、正確な税額の評価が困難であるため、専門家の意見を聞くことも考慮に入れましょう。

 

遺産分割協議書を作成する

遺産分割協議書を作成する際には、建物の具体的な情報を記載する必要があります。未登記建物の場合、登記簿謄本に記載がないため、以下の情報を固定資産評価証明書や課税台帳から抽出して以下のように記載しましょう。

 

所在 京都府中京区⚪︎丁目⚪︎番地

種類 居宅

構造 ○造○○▲階建て

床面積 1階○○㎡ 2階○○㎡

上記建物は未登記のため、固定資産評価証明書および名寄帳兼課税台帳の記載による

 

表題登記をおこなう

次に、表題登記の手続きを進めます。不動産登記には「表題部」と「権利部」の2つが存在しますが、初めに表題登記によって新しい登記簿を作成します。

 

表題登記に必要な書類

表題登記を行う際には、以下の書類が必要です。

 

  • 登記申請書
  • 建物の平面図
  • 建築確認通知書や検査済証
  • 施工業者による工事完了引渡証明書
  • 建築主の資格証明書や印鑑証明書
  • 相続に関連する書類(戸籍謄本や遺産分割協議書など)

 

これらの書類をもって、建物が位置する地域の法務局に申請をおこないます。

 

所有権保存登記をする

表題登記が完了すると、次に未登記建物の所有権を正式に公示するための所有権保存登記を申請します。この登記は、権利部分に記録されます。所有権保存登記をおこなうには次の書類が必要です。

 

  • 登記申請書
  • 所有者の住民票
  • 住宅用家屋証明書

 

加えて、所有権保存登記には「登記免許税」がかかります。

表題登記や所有権保存登記は、知識がないと正しく進めるのは困難です。不安がある場合は専門家に相談し、適切に進められるようにしましょう。

未登記建物の相続で注意すべきこと

未登記建物の相続をするときは、以下の3点に注意しましょう。

 

  • 未登記建物を解体するなら登記しなくていい
  • 登記の有無は早めに確認する
  • 所有者保存登記は必須でおこなう

 

それぞれ解説します。

未登記建物を解体するなら登記しなくていい

登記事項証明書がない場合でも、解体工事の契約を結ぶことは可能です。そのため、未登記の建物を相続して解体を予定している場合、表題登記をおこなう必要はありません。

登記済みの建物を解体する際には、滅失登記の申請が必要であり、法務局から各市町村へ建物の解体が通知されます。一方で未登記建物の場合、そのような通知はおこなわれないことから固定資産税が引き続き課税されるため、解体後には必ず市町村に家屋滅失届を提出してください。

家屋滅失届に必要な解体業者の記入・押印は、市町村のホームページからフォームをダウンロードし、解体が完了した後におこなうことで手続きをスムーズに進めることができます。

 

登記の有無は早めに確認する

相続が発生した際には、なるべく早く建物の登記状況を確認しましょう。未登記の建物が相続財産に含まれていることが分かれば、遺産分割協議前に適切な措置を講じることができるためです。

登記がされていない場合、その事実が遺産分割協議中に判明し、あとから協議をやり直す必要が出てくることがあります。これを避けるためにも、相続プロセスの早い段階で登記の有無を確認し、必要な情報を集めることが重要です。

 

所有者保存登記は必須でおこなう

未登記建物を相続した後、表題登記を完了させたら、次に所有権保存登記を行うことが必須です。この登記により、正式な所有者としての地位が法的に保証され、将来的な権利争いを防ぐことができます。2024年4月1日以降、相続登記が義務化されるため、適切な手続きをおこなわないと過料の対象となる可能性があります。所有権保存登記を通じて、建物の法的な保護を確実に実施し、第三者に対する所有権の主張を強化することが重要です。

まとめ

未登記建物は、相続の対象となる財産です。相続を認知したあとも放置し続けることで、建物の売却や固定資産税の徴収、相続の複雑化などさまざまな問題が起きかねません。

そのため、この記事で解説した正しい手順に沿って手続きを完了させ、未登記建物の相続で抱えていた問題から解放されましょう。

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