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【相続で揉める家族の特徴13選】揉める原因や対策も解説

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【相続で揉める家族の特徴13選】揉める原因や対策も解説

【相続で揉める家族の特徴13選】揉める原因や対策も解説

2023/10/10

目次

    被相続人の死後に発生する相続で、残念ながら揉めてしまう家族も一定数いるのが現状です。なかには、長年絆を深めてきたのに相続になった途端意見が対立する家族も。できることなら、そのような状況は避けたいものですよね。

    そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。
     

    • 相続で揉める家族はどのくらいいる?
    • 相続で家族が揉める原因は?
    • 相続で揉める家族の特徴13選
    • 相続で家族が揉めないようにするための対策
       

    この記事を読むことで、相続で揉める家族の特徴を理解したうえで、どうすれば揉めずに相続を終了させることができるのかが分かります。

    これから相続を控えている方はもちろん、現在相続の真っ只中にいる方も、ぜひ最後までご覧ください。

    相続で揉める家族はどのくらいいる?

    相続で揉める家族は、どのくらいいるのでしょうか。参考になるのが、裁判所が毎年開示をしている「司法統計」です。令和4年の司法統計から、1年間で相続で揉めた家族がどのくらいいるのかを見てみます。

    裁判所が公表している「令和4年 司法統計年報(家事編)」によると、家庭裁判所て扱われた相続のうち、「認容・調停」が成立した件数は「6,857件」でした。

    つまり、全国の家庭裁判所では1日に合計18件以上の相続が確実に取り扱われているということです。この数字だけみても、相続によるトラブルが決して遠い世界のものではないということがわかります。

    相続で家族が揉める3つの原因

    相続で家族が揉めるのには、主に以下3つの原因があります。
     

    1. 遺産配分の方法
    2. 相続する遺産の総額
    3. 相続する遺産に対する思い入れ

     

    遺産配分の方法

    家族間で遺産配分をおこなうとき、誰か1人が遺産を独り占めしたり、家族間で遺産配分の割合に折り合いがつかないことで、トラブルにつながるケースは多いです。

    1番イメージのしやすいトラブルの種類かと思います。
     

    相続する遺産の総額

    相続対象となる遺産の総額が大きいと、家族間での争いが増える傾向があります。遺産が多い場合、それをどのように分配するかの判断が難しくなることが多いためです。

    特に、具体的な遺言が残されていない場合、公平に分けることの難しさから家族間での意見が分かれやすくなります。

    また、遺産の総額が少なくても相続トラブルに発展することは多々あるのも事実です。実際に「令和4年 司法統計年報(家事編)」をみてみると、1年間で家庭裁判所で取り扱われた相続は、総額が1,000万円以下で1,000万円以下は2,296件、1,001万円〜5,000万円以下で2,935件あったとされています。

    総額1,000万円以下の相続でも、トラブルに発展する可能性は十分にあるということがわかります。
     

    相続する遺産に対する思い入れ

    相続対象の遺産に特別な思い入れがあると、その遺産を巡るトラブルが増える傾向にあります。

    1つの遺産に対して、相続人それぞれが異なる価値観や感情を投影すると、話し合いに折り合いがつかないことが多いです。

    たとえば、ある相続人はその土地を売却して新しい家を建てたいと考えている一方、別の相続人は土地を守りたいと考えることがあります。このような違いがトラブルの原因となるんです。

    相続で揉める家族の特徴13選

    それでは、「相続で揉める家族の特徴」として13個の特徴を解説していきます。
     

    特徴1.相続人が多数いる

    相続人が多数いると、相続の取り決めや遺産分配において複雑な状況が生じやすいです。相続人が多い場合、それぞれの要望や考え方が異なるため、遺産を公平に分けるのが難しく1つの意見にまとまりにくくなります。

    特に遺言がない場合は、相続人全員の合意を得たうえで署名・捺印を集め、「遺産分割協議書」を作成する必要があります。遺産分割協議書は、定められた相続人が1人でも合意をしなかった場合無効となるため、相続人の人数が増えれば増えるほど内容がまとまらなくなるリスクが高まるというわけです。

    想定されるトラブル

    • 一部の相続人から遺産の分配に関する不満が起こり、協議が長引く
    • 一部の相続人が協議に応じず、全員の署名・捺印がなかなか集まらない
    • 遺産分割協議の決定事項に納得しない相続人がいることで、遺産分割協議書が作成できない

     

    特徴2.相続人同士が疎遠・不仲である

    相続人同士が疎遠や不仲であると、相続に関するコミュニケーションが不足し、トラブルの元になることが多いです。

    相続人同志の関係が疎遠な場合、話し合いを避けられがちで、なかなか協議が進まないことが考えられます。また、相続人同士が不仲な場合は過去の感情的な対立が相続問題に影響する可能性もあります。

    想定されるトラブル

    • 相続に関する情報の共有が遅れるあるいはされないことで、協議が後ろ倒しになる
    • 過去の不満や対立が相続問題に絡み、解決が難しくなる
    • 相続人同士で感情的になり、相続の話し合いが停滞する

     

    特徴3.協議を進めるのが困難な相続人がいる

    「認知症」や「精神障害」を患っており協議を進めるのが困難な相続人が存在した場合、相続全体の手続きが滞ることがあります。

    相続人の権利は平等に護られる必要があるため、認知症や精神障害が理由で医師に「意思決定能力がない」と判断された場合は後見人を選定しなければなりません。意思決定能力がないまま遺産分割協議に参加をさせれば、その遺産分割協議は無効となる可能性があるためです。

    また、失踪や行方不明で協議を進めるのが困難な相続人がいる場合も、「失踪宣告」や「不在者財産管理人」の手続きが必要となります。このような場合、誰が手続きを進めるのか、誰が手続きの費用を負担するのかといった話し合いから始める必要があり、相続の協議がなかなか進まないことが予想されます。

    想定されるトラブル

    • 後見人の選定が必要となる
    • 失踪宣告や不在者財産管理人の手続きが必要となる

     

    特徴4.想定していなかった相続人が現れた

    想定していなかった相続人が現れると、既に計画されていた相続手続きや遺産分配が大きく変わる可能性があります。

    公的な遺言のない相続において、遺産分割協議を開いて相続人全員の同意を得たうえで、遺産分割協議書を作成する必要があります。そのため、まず最初に被相続人の戸籍謄本といった書類から戸籍を確認し、すべての相続人を確定させることが重要です。

    被相続人の戸籍を辿るなかで、婚姻関係のない女性との間に生まれた「非嫡出子」や前妻の子の存在が初めて認知され、それまでは想定していなかった相続人として現れる可能性があります。それまでは認知されていなかった子どもであっても、相続において第1順位となるため、被相続人が亡くなる前の家族との間でトラブルになることは少なくありません。

    想定されるトラブル

    • 既存の相続人と新たに現れた相続人との間で意見が対立する
    • 相続人の正当性を確認するための手間や時間が増加する
    • 非嫡出子や前妻の子に相続をさせたくないという感情から話し合いが長引く

     

    特徴5.相続させたくない相続人がいる

    特定の相続人に対する不信感や不満がある場合、相続の進行中にその感情がトラブルの原因となることが多いです。

    また、被相続人が「親子の縁を切りたい」と思っている子どもに相続をさせたくない場合もトラブルが起こりやすい傾向にあります。親が子どもを疎ましく思っているとき、その逆で子どもも親を疎ましく思っているケースが多く、「どうせなら遺産をもらってやる」という考えになることがあるためです。

    想定されるトラブル

    • 遺言の正当性や内容についての対立が起こる
    • 遺産の分配を巡る対立が起こる
    • 家族間の感情的な対立が起こる

     

    特徴6.相続人のうち1人だけが財産管理をおこなっていた

    一部の相続人が被相続人の財産管理をおこなっていた場合、トラブルが生じやすくなります。

    たとえば、三人兄弟のうち長男だけが被相続人の介護をしていた場合、同時に長男が財産を管理せざるを得ません。このような場合、次男・三男には被相続人の財産状況が共有されず、いざ相続となったときの情報格差によってトラブルが生じるという流れです。また、長男の財産使い込みや財産隠しを疑われる可能性もあります。

    想定されるトラブル

    • 財産の管理状況や使用履歴について不信感が生まれる
    • 一部の相続人が財産の隠匿や不正使用を疑われる
    • 被相続人が保有していた財産の情報開示が求められる、家族間の摩擦が生じる

     

    特徴7.被相続人の生前に多額の援助を受けていた相続人がいる

    被相続人の生前に特定の相続人への生前贈与があった場合、その相続人には「特別受益」が認められ、相続分を減らされる可能性が高いです。

    また、多額の援助を受けていた相続人がいる場合、他の相続人から見て不公平と感じることがあります。生前の援助を「前払いの相続」と見なすか、それとも別のものと見なすかが問われることとなり、その話し合いで意見が対立することもあるんです。

    想定されるトラブル

    • 生前贈与の額や目的に関する不明確さから疑念が生まれる
    • 遺産分配の際に生前贈与を「特別受益」とするかしないかで意見が対立する
    • 生前に援助を受けていた相続人に対して、他の相続人から不信感が生まれる

     

    特徴8.特定の相続人の介護負担が大きかった

    被相続人の介護負担が大きい相続人がいたとき、遺産分割の際にトラブルに発展する可能性があります。被相続人の生前に介護を率先しておこなっていた相続人には「寄与分」が認められ、本来よりも多めに遺産を相続することが可能です。

    ただ、実際に介護をおこなっていたのが1人だけだとしても、その他の相続人が寄与分を認めないケースも存在します。寄与分が認められても、どのくらいの額で折り合いを付けるのかという話し合いで対立が生まれることもあります。

    想定されるトラブル

    • 介護負担の大きかった相続人に寄与分が認められない
    • 寄与分の額をいくらにするのかで意見が対立する

     

    特徴9.被相続人に内縁の配偶者がいた

    内縁の配偶者には相続権が認められません。そのため、被相続人の内縁の配偶者が不動産に住んでいたり、内縁の配偶者が被相続人の財産に頼っていた場合は、トラブルが発生することが多いです。

    想定されるトラブル

    • 相続人から内縁の配偶者に対し、住んでいる家からの退去が要求される
    • 被相続人が保有していた財産が相続人へ相続されることで、内縁の配偶者がその後の生活に困窮する

     

    特徴10.相続対象の遺産がほとんど実家しかない

    相続対象の遺産が実家を中心とする場合、誰が実家の相続を受けるのか、相続後の実家はどう利するのか、などで意見が対立することがあります。

    想定されるトラブル

    • 実家を残したいという意見と、実家を売りたいという意見で対立する
    • 実家をどの家族が管理・維持するのか決まらない

     

    特徴11.相続対象に不動産が多く含まれている

    不動産を多く含む相続は、その価値や利用方法などの決定すべき事項が多岐にわたり、家族間の意見が分かれやすくトラブルの原因となることが多いです。

    また、不相談を残したい相続人と売りたい相続人の意見が対立することも考えられます。

    想定されるトラブル

    • 誰が不動産を相続するのか決まらない
    • 不相談を売るか残しておくかの意見が対立する

     

    特徴12.被相続人が事業をしていた

    被相続人が事業を運営していた場合、相続の内容がかなり複雑化します。すべての相続人が平等に相続をすることは難しく、相続人同士で意見が対立することが多いです。

    また、被相続人が運営をしていた事業の価値は、将来の収益やリスクを考慮する必要があり一概に評価することが難しく、意見の対立が生じやすくなっています。

    想定されるトラブル

    • 遺産分割協議の遅延により、事業に不利益をもたらす
    • 事業の将来性や利益性を評価する必要がある

     

    特徴13.遺言書の内容が平等ではなかった

    遺言書の内容が平等でない場合、家族間で納得をしない人が生まれ、トラブルが発生しやすくなります。

    たとえば3人兄弟で相続が発生したとき、「被相続人の財産はすべて長男に相続する」という内容の遺言がのこされていたとき、次男や三男が納得する可能性は低く、兄弟間で軋轢を生みかねません。

    家族間での不平等を少しでもなくすため、相続には「遺留分」という制度があります。遺留分とは、被相続人の遺産に対して、それぞれの相続人が最低限相続できる割合のことです。

    遺言に従ったとき、ある相続人が遺留分相当の相続を受けられない場合は、「遺留分侵害額請求」をおこなうことが可能です。遺留分侵害額請求によって、自身の遺留分を取り返すことができます。

    想定されるトラブル

    • 遺言書の不平等から兄弟間や家族間で不仲となってしまう
    • 遺留分侵害請求権が行使される

    相続で家族が揉めないようにするための対策

    相続で家族が揉めないようにするためには、どのような対策をすべきなのでしょうか。今回は、以下5つの対策を解説します。
     

    1. 被相続人の生前から話し合いを進めておく
    2. 被相続人が遺言書を残す
    3. 後見制度を活用する
    4. 家族信託を利用する
    5. 相続の専門家に相談する

     

    相続が「争続」とならないよう、対策を事前に把握しておきましょう。
     

    対策1.被相続人の生前から話し合いを進めておく

    相続問題を避ける最も効果的な手段は、被相続人の生前から相続人同士で話し合いを進めることです。被相続人の生前から話し合いができていることで、実際に相続が発生したときのトラブルを未然に防ぐことが可能です。

    たとえば、以下のようなことを話し合っておきましょう。
     

    • 相続対象の不動産を誰が継承するのか
    • 被相続人の事業を誰が継承するのか
    • 介護負担を考慮した寄与分の金額をどうするか

     

    対策2.被相続人が遺言書を残す

    被相続人が遺言書を残すことは、相続の際の家族間のトラブルを減少させる効果的な手段です。

    遺言書は、被相続人の意志を正確かつ明確に伝える手段となります。家族間での意見の対立や誤解を防ぐことが可能です。

    ただし、遺言書には公的な書類である分正確なルールに則って書かれている必要がある点には注意してください。実際に、民法960条にて「遺言はルールに則って書かれていない場合効力を持たない」という旨の決まりがあります。

    そのため、正式な遺言書を作成するべく弁護士や司法書士に相談することがおすすめです。
     

    対策3.後見制度を活用する

    相続人のなかで「意思決定能力がない」と判断された方がいる場合は、成年後見制度を利用しましょう。成年後見制度とは、認知症や精神障害を患らいっている方の代わりとして後見人が相続に参加することで、意思決定が困難な方の権利を守るために定められた制度です。

    後見人には、家庭裁判所の調査によって決定される「法定後見」と、本人または家族が自身で選定する「任意後見」の2種類が存在します。状況に合わせてどちらかを活用するようにしてください。
     

    対策4.家族信託を利用する

    家族信託を利用することで、生前や死後の財産管理が容易となるケースがあります。実際に、相続のトラブルを未然に防止する手段として家族信託が選ばれているんです。

    家族信託を利用することで、被相続人が認知症となり判断能力がなくなっても正確に財産を運用できたり、相続の手続きを簡略化できたりといったメリットがあります。
     

    対策5.相続の専門家に相談する

    相続に関する問題や疑問を効果的に解決するためには、その道のプロである弁護士や司法書士に相談することが最も確実といえます。

    相続は複雑な法律や税制に関連するものが多く、一般の方がすぐに理解するのは難しいものです。専門家はこの複雑な情報をリアルタイムに把握しており、適切なアドバイスやサポートをしてくれます。

    また、相続に家族間の感情や過去の経緯が絡むと、当事者間では公平な判断が難しくなることがあります。相続の専門家は中立的な立場からアドバイスを行い、公正な対応をサポートします。

    「相続でトラブルになりそう」と感じたら、早めに専門家の意見や提案を取り入れることで、未然に家族間のトラブルや法的問題を避けることが可能です。

    まとめ

    相続は、家族の絆や関係性を再確認する大切な機会です。しかし、さまざまな家族の特徴によって、その過程でトラブルが生じるリスクが高まることも。

    本コラムで取り上げた家族の特徴を理解し、事前の対策やコミュニケーションを大切にすることで、家族全員が納得のいく形で相続を進めるようにしましょう。

    司法書士法人・行政書士鴨川事務所では、相続におけるさまざまなご相談を随時承っています。専門的な観点でのアドバイスが可能ですので、相続でお悩みの方はぜひご相談ください。

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