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過去の相続分は相続登記義務化の対象?過料や登記期限などを徹底解説

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過去の相続分は相続登記義務化の対象?過料や登記期限などを徹底解説

過去の相続分は相続登記義務化の対象?過料や登記期限などを徹底解説

2024/05/31

過去に不動産を相続したけど相続登記をしていないという方は、意外と多いのではないでしょうか。相続登記義務化が話題となっている今、過去の相続分も対象となるのか気になりますよね。

そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。

  • そもそも相続登記義務化とは?
  • 相続登記義務化は「過去の相続」も対象?
  • 過去の相続分を相続登記しないとどうなる?デメリットは?
  • 過去の相続分をすぐに相続登記できないときはどうする?

 

この記事を読むことで、過去の相続分の相続登記が完了していない場合の対応について、全てを把握することが可能です。対象となる方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

    1.そもそも相続登記義務化とは?

    相続登記とは、亡くなった人(被相続人)が所有していた不動産の名義を相続人に変更する手続きです。不動産の所有者情報は、法務局で管理されている登記簿に記録されています。そして不動産を相続した人は、「相続を原因とする所有権移転登記」(つまり相続登記)を申請しなければなりません。

    たとえば、父親名義の不動産をその子どもが相続した場合、子どもはその不動産所在地を管轄する法務局に所有者移転登記を申請し、名義を父親から自分に変更するというのが流れです。

    そして今回、相続登記が2024年4月1日より義務化されました。

    1-1.2024年4月1日より相続登記義務化が開始

    従来、相続登記は任意であり、登記をしなくても法的な問題はありませんでした。しかし、2024年4月1日からは相続登記が義務化されました。

     

    1-2.相続登記義務化以降の相続登記期限

    相続登記義務化以降、相続によって不動産を取得した人は、「所有権取得を知った日から3年以内」に相続登記を申請する義務が生じます。

    具体的には、「自身のために相続が開始されたことを知り、かつ、相続で不動産の所有権を取得したとわかった日から3年以内」です。要するに自分が相続人であり、相続財産に不動産が含まれていることを知ったときから3年以内と考えればよいです。

    相続登記期限までに相続登記をおこなわないと、10万円以下の過料が発生する可能性があり注意しなければなりません。

     

    1-3.なぜ相続登記が義務化されたのか

    相続登記の義務化は、社会問題となっている「所有者不明の土地増加」の問題を解決するために導入されました。所有者不明土地とは、次のような理由で現在の所有者が不明な土地のことを指します。

     

    • 相続後に手続きが面倒で相続登記をしなかった
    • 相続人が複数いることから、相続登記されずに放置された
    • 相続登記後に相続人が住所変更をしなかった

     

    相続が発生後に登記をしないと、不動産登記簿上に記載されている所有者と実際の所有者に乖離が生じ、その状態が長期間続くことでさらに所有者を把握するのが難しくなります。所有者不明土地が増えると、不動産取引や都市開発の妨げになるため、法改正により相続登記が義務化されました。

    2.相続登記義務化は「過去の相続」も対象

    相続登記義務化は、2024年4月1日から開始されますが、注意すべき点は過去の相続も対象になることです。過去に戸建てやマンション、土地といった不動産を相続している場合でも、相続登記を完了しているかどうか確認しなければなりません。

    相続登記できていない場合は、放置せず早めに手続きを進める必要があります。

    2-1.過去の相続分の相続登記期限

    過去の相続分の相続登記期限は、改正法の施行日である2024年4月1日または不動産の取得を知った日のうち、いずれか遅い日から3年以内です。

    ほとんどのケースでは、2024年4月1日が起算点となるため、2027年3月31日までの間に相続登記を完了させる必要があります。

    2-2.過去の相続分を相続登記しなければ過料が発生する

    前述したように、法改正後は期限内に相続登記を怠ると10万円以下の過料が科せられることになりました。これは、過去の相続分についても同様です。

    ただ例外として、以下のような正当な理由があると認められた場合には、罰則が適用されないこともあります。

     

    • 関係する相続人が多く、戸籍謄本などの資料収集や相続人の把握に時間がかかるケース
    • 相続人間で遺言の有効性や遺産の範囲について争いがあるケース
    • 相続登記の申請義務者が重病などの事情で期限内の申請が難しいケース

     

    このような状況に該当する場合でも、できるだけ早めに専門家に相談し、適切な手続きを進めることが重要です。

    3.過去の相続分を相続登記しないとどうなる?デメリットは?

    過去の相続分を相続登記をしないとどうなるのでしょうか。相続登記をしないことで、以下のようなデメリットが考えられます。

     

    • 不動産の売却が進まない
    • 不動産を融資の担保にできない
    • 相続が複雑化する
    • 不動産の権利を主張できない
    • 賃料を受け取れない可能性がある
    • 他の相続人によって勝手な行動をされる
    • 遺産分割協議の進行が複雑になる
    • 保険金の支払いがスムーズに進まない
    • 不動産が管理不行き届きになる

     

    過去の相続分を含め、相続登記をしなかったらどうなるのかは以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

    関連記事:【相続登記義務化以降】相続登記をしないとどうなる?リスクを解説

     

    4.過去の相続分をすぐに相続登記できないときの対処法

    過去の相続分をすぐに相続登記ができないときは、相続人申告登記を利用することが有効です。この方法により、相続登記の義務を果たし、罰則を回避することができます。

    4-1.相続人申告登記をおこなう

    相続人申告登記は、相続登記義務化とともに新たに導入された制度です。通常の相続登記よりも簡単に申請することができます。

    不動産が相続対象に含まれる遺産分割協議が難航し、期限内に相続登記を申請することが難しいケースに対応するために、相続人申告登記が導入されました。

    不動産が遺産に含まれている遺産分割協議において、相続人間での話し合いがまとまらない場合、法定相続分に基づいて登記をおこなうことも可能です。ですが正式な相続人が決まった際に改めて相続登記をする必要があり、二度手間になることも。

    二度手間にもならないためにも、相続人申告登記を利用することで相続登記申請の義務を履行したとみなされ、罰則の適用を避けることができます。

    関連記事:相続登記の義務化による罰則・過料とは?罰則を受けないための方法も解説

     

    4-2.相続人申告登記の進め方

    過去の相続分相続人申告登記をおこなうときは、相続登記の申請期間内に以下の2つを管轄する法務局で登記官に申し出てください。

     

    • 登記名義人の相続が開始したこと
    • 自分が登記名義人の相続人であること

     

    これらの申し出を受けた登記官は、不動産登記簿に申出人の住所や氏名などを登記します。これにより、誰が相続人であるかが明確になります。

     

    4-3.相続人申告登記をするメリット

    相続人申告登記をおこなうメリットは、主に以下の3点です。

     

    • 申告をおこなえば、相続登記の義務を果たしたことになる
    • 相続人が複数いても単独で申請できる
    • 必要な書類は、亡くなった所有者の相続人であることを証明する戸籍謄本のみ

     

    相続申告登記は、相続人が複数いても単独で申し込むことが可能で、必要な書類も少ないです。遺産分割協議が難航し相続がスムーズに進んでいない方は、ぜひ相続申告登記を活用してください。

     

    4-4.相続人申告登記の注意点

    相続人申告登記には、メリットだけでなくいくつかの注意点があります。相続人申告登記は、相続人が誰かを証明する制度であり、不動産の名義人を正式に変更する登記ではありません。このため、放置しておくと以下のようなリスクが発生する可能性があります。

     

    • 相続人間での権利関係が不明確なままになる
    • 将来的な不動産取引や財産分与が難航する
    • 所有者不明土地としての問題が残る

     

    このようなリスクを避けるためにも、最終的な相続登記を改めて行うことが重要です。相続人申告登記は一時的な措置であることを認識し、正式な登記手続きを進めるようにしましょう。

    5.過去の相続分の相続登記なら司法書士に相談を!

    過去の相続分の相続登記を何らかの理由から対応できていない方は、相続の専門家に依頼するのも一つの手段です。

    相続登記を業務として扱えるのは、弁護士と司法書士のみです。しかし、登記業務を主に行う弁護士は少ないため、まずは相続登記の専門家である司法書士に相談するのが一般的です。

    ただし、司法書士は相続人の代理となってその他の相続人とやり取りをしたり、遺産分割調停に代理で出席することはできません。そのため、相続人間ですでに紛争が発生している場合や手続きがスムーズに進まない場合は、最初から弁護士に相談するほうが適切かもしれません。

    市区町村や司法書士会などが無料相談会をおこなっていることもあるので、そこで相談するのも一つの方法です。

    いずれにせよ、相続登記が手間であったり思うように対応する時間をとれなかったりする方は、司法書士をはじめとした相続の専門家へ依頼するのが良いでしょう。

     

    6.まとめ

    2024年4月1日の相続登記義務化以降、過去の相続分についても期限内に相続登記をする必要があります。期限とは、改正法の施行日である2024年4月1日または不動産の取得を知った日のうち、いずれか遅い日から3年以内です。

    期限内に対応をしなければ、10万円以下の過料が発生する場合があります。そのため相続登記を放置している方は、できるだけ早く対応を進めましょう。

    司法書士法人・行政書士鴨川事務所では、相続登記をはじめとした相続に関するお問い合わせを随時受け付けております。相続で不安に感じていることや悩みなど、1人で抱えこまずにぜひ私たちへご相談ください。

     

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