京都鴨川司法書士・行政書士事務所

相続手続きに協力してくれない人がいる場合の対処法

お問い合わせはこちら 他の事務所を探す方はこちらへ

相続手続きに協力してくれない人がいる場合の対処法

相続手続きに協力してくれない人がいる場合の対処法

2023/11/10

相続の手続きを進めていくには、相続人全員の協力が必要です。ですが、関係性の薄い人に連絡をしても無視や拒否されることもしばしば。

この記事では、相続に協力してくれない人がいるときの対処法について解説します。協力してもらうためのポイントも紹介していますので、最後までご覧ください。

目次

    なぜ相続人全員の協力が必要なのか

    相続手続きは、故人の意志と法律に則っておこなわれるものです。故人が遺言を残していない場合、相続人全員の合意が必要となります。これは、不動産の名義変更や銀行口座の解約など、一部の手続きには相続人全員の同意や署名が法律で求められているからです。相続人の一人でも協力しない場合、手続きは停滞し、場合によっては家庭裁判所への申し立てを要することもあります。
     

    相続人全員の協力がないと手続きが進まない

    相続手続きでは、「遺産分割協議書」の提出が求められます。これには、相続人全員の自筆の署名と実印の押印、さらには印鑑証明書の添付が必要です。一人分でも欠けている遺産分割協議書は無効とされるため、相続の手続きが進められません。

    また、相続手続きの過程で、全員の協力が得られないと以下のような問題が発生します。

    • 名義変更の遅延:不動産登記などの名義変更には、全員の署名が必要です。
    • 資産の凍結:銀行口座が凍結され、資産の流動性が失われることがあります。
    • 紛争の発生:相続人間での意見の相違が紛争に発展する可能性があります。

     

    これらの問題を避けるためにも、相続人全員の協力が必要なのです。
     

    遺言書がある場合は例外

    ただし、遺言書がある場合であれば遺産分割協議は必要ありません。遺言書の内容に沿って手続きを進めるため、相続人全員への連絡は不要です。

    相続人が相続手続きに協力してくれない理由

    相続人が連絡を無視したり手続きに応じてくれないのには理由があります。

    一般的に、以下のようなパターンが考えられます。

    • そもそも書類を確認できていない
    • 詐欺と勘違いして放置している
    • 高齢もしくは病気のため対応できない
    • 関係性が薄いため関わりたくない
    • 遺産分割の内容に納得していない


    そもそも書類を確認できていない

    もし郵便物が届いているのに連絡がない場合は、相手がまだ書類を目にしていない可能性があります。相手の電話番号がわかっているなら、直接電話をかけて確認することが迅速な対応策です。

    繰り返し電話をしても応答がない時は、相手が入院するなどで長期間家を空けていることも考えられます。そのような状況を把握している可能性がある親族に問い合わせるか、もし訪問が可能であれば直接様子を見に行くと良いでしょう。
     

    詐欺と勘違いして放置している

    高齢者の中には、受け取った書類の内容がわからずそのままにしている方や、詐欺を疑って対応しない方もいらっしゃいます。電話での説明だけでは十分に理解してもらえないことが多いです。可能であれば、直接足を運び、対面で丁寧に状況を説明することが望ましいです。
     

    高齢もしくは病気のため対応できない

    高齢で難しい内容がわからなかったり、認知症になっていて対応できない可能性もあります。相続人に判断能力のない方がいる場合は、成年後見人を立てる必要があります。
     

    関係性が薄いため関わりたくない

    相続問題を避けたいと思っている相続人の中には、故人と距離を置いていたり、家族内の感情的な争いから距離を置いていたりするケースがあります。相続にまつわる煩雑さから逃れたいと考える人も珍しくないのが実情です。

    相続への参加を望まない相続人に対しては、相続放棄が選択肢となることもあります。相続放棄は、相続が発生したことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があります。この選択肢についてはしっかりと説明し、必要があれば手続きの支援をおこなうことが重要です。
     

    遺産分割の内容に納得していない

    遺産分割案に納得できず、相続手続きの進行に意志を示さない相続人がいる場合、分割案がそのように提案された理由をきちんと説明することが重要です。

    もし相続手続きを拒否する相続人がいると、問題は家庭裁判所での調停や裁判によって解決されることになります。相続に協力しないことで生じる追加的な手間や個人に及ぼす不利益を理解していただくことが、問題解決に向けた一歩となるでしょう。

    相続手続きに協力してもらえないときの対処法

    それでも連絡拒否をされ協力してもらえない場合は、以下のような方法を考えましょう。
     

    専門家に相談する

    相続手続きにおいて協力を得られない相続人がいる際は、専門家への相談が効果的です。司法書士や弁護士といった資格を持つ専門家からの正式な連絡を受けることで、非協力的な相続人も行動を起こすことが期待できます。

    また、専門家に委託することで、戸籍謄本の取得や相続人の所在地の確認などの手続きを代行してもらうことが可能です。早期に専門家と相談しておくことで、相続プロセスがスムーズに進み、余計な手間を省くことができます。
     

    遺産分割調停を申し立てる

    ​​相続人間での遺産分割協議が難しい場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることで問題の解決を図ることができます。調停は話し合いを進めるプロセスですが、中立的な第三者が介入することで、より冷静な議論が可能です。

    調停において相続人が出席しなかったり、合意に至らなかったりする場合は、「遺産分割審判」を通じて遺産の分配方法を定めることができます。当事者間で解決が困難なときは、家庭裁判所の利用を検討しましょう。

    相続人の連絡先がわからない場合は?

    疎遠になっている相続人は、連絡先がわからない人もいると思います。親族に聞いてもわからない場合は、以下のように進めましょう。
     

    住所を調査する

    まず、該当する相続人の居住地を突き止めることから始めます。これには、住民票や戸籍謄本などの公的書類を取得することが含まれます。さらに、親族に話を聞くことも有効な手段です。居住地がわかったら、まずは手紙を通じて連絡を試みます。返事がくれば、そのやり取りをもとに相続手続きを進めていきましょう。
     

    不在者財産管理人の選任を申し立てする

    住所が特定できても、何かしらの理由で実際にはそこに住んでいない場合があります。こうした場合は、家庭裁判所に対して「不在者財産管理人」の指名を要請する手続きを取ることができます。

    「不在者財産管理人」とは、本来の住所から離れしばらく戻る可能性が低い人々(不在者)について、彼らの財産を管理し、遺産分割などの手続きを代行することが許された人のことです。共同相続人など利害関係がある者は、この管理人の指名を申し立てることができ、指名された場合は不在者に代わり遺産分割の交渉を進めることになります。
     

    失踪宣告の申し立てる

    相続人が行方不明となり、その生死が7年以上不明の場合、家庭裁判所に「失踪宣告」を申請することができます。

    失踪宣告がおこなわれると、法的にその相続人は死亡したと見なされますから、遺産分割の協議に彼らを含める必要はありません。しかし、宣告された人に遺族(配偶者や子どもなど)がいる場合は、それらの遺族が遺産分割の協議に参加することになります。ただし、多くの場合、失踪宣告は家族の感情に反することがあるため、代わりに不在者財産管理人を指名する選択をすることが一般的です。

    相続手続きに協力してもらうためのポイント

    相続手続きに協力してもらうために、以下2つの点を覚えておきましょう。

    1. 疎遠な相続人への連絡は手紙で
    2. 感情的にならない

     

    疎遠な相続人への連絡は手紙で

    遺産分割協議書をただ送りつけて署名を求めるのは、受取人を困惑させかねません。被相続人の死亡、遺産の総額、各相続人の法定相続割合などの情報を隠さず、手紙で丁寧に説明することが重要です。

    明確でない、理解しにくい内容の手紙は、受取人に不信感を与える原因となります。信頼を損なうと、それを取り戻すのは非常に難しいです。

    何よりも大切なのは、相続に関する情報を相手に正確に伝え、誠実で理解しやすい方法で書くことです。
     

    感情的にならない

    コミュニケーションが取れない疎遠な相続人に対して、「被相続人との関係が希薄だったために遺産を放棄するべきだ」と暗に迫るような態度は、状況をより困難にする可能性があります。

    連絡が取れない、または協力的でない相続人には、さまざまな個人的な事情があることも理解しましょう。

    和やかな相続のためには、依頼者はもちろん、連絡が取れない相続人にも丁寧に対応し、根気強く進めていくことが求められます。

    まとめ

    相続手続きは相続人全員の合意を示す必要があります。一人でも欠けていると手続きは進められません。

    相続人にもそれぞれ事情があることを理解し、適切な対応を心がけましょう。感情的になって強引に進めようとすると、かえって状況を悪化させることになりますので、最後まで丁寧に対応していくことが大切です。

    それでも協力してくれない人がいる場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。

    司法書士法人・行政書士鴨川事務所では、相続に関するお問い合わせを随時受け付けております。相続で不安に感じていることや悩みなど、1人で抱えこまずにぜひ私たちへご相談ください。

    当店でご利用いただける電子決済のご案内

    下記よりお選びいただけます。