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相続登記の義務化について~京都で相続相談なら、京都鴨川司法書士・行政書士事務所~

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相続登記の義務化について~京都で相続相談なら、京都鴨川司法書士・行政書士事務所~

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2021/08/17

 

今回は相続登記等の義務化について、概要~大まかな内容詳細等について、書きたいと思います。

 

【相続登記の義務化についての概要】
これまで所有者不明の不動産問題が長年の間、問題視されつつも、国の施策としては特段対策が講じられてきませんでした。空き家等の場合においては、その利活用、町家再生など、民間の団体や会社が各々取り組んできた印象があります。
そこで、所有者不明の不動産問題を解決するため、政府は2021年3月5日の閣議会議で、民法等関連法案の改正を決定しました。国会で可決後、2023年度に施行予定とのことです。

 

【相続登記が義務化される理由】
近年の国土交通省の調査では、全国のおよそ2割の不動産について、その所有者が不明とのことです。
その原因の多くが、当該不動産の相続登記が行われていないから、というものであり、なんと60%超が所有者不明の原因割合とされており、以前から問題視されてきた経緯があります。

 

【なぜ、相続登記が行われてこなかったのか】
相続登記が行われないケースとして、山林や田んぼ等があります。相続登記をしても買い手はつかず、固定資産税がかかるばかりで、所有者の名義を変更するにも登録免許税などの実費や司法書士へ依頼する場合には、別途報酬も必要となります。そういった不動産がいわゆる「負の相続財産」として考えられ、放置されてきた現状も、数多くあるようです。
そして、今になって相続登記に取り組もうとしても、所有者本人のみならず、当時の相続人も亡くなり、数次相続が発生しているため、現時点における相続人が把握しきれないほどに広範囲にわたり、登記報酬費用も高額となり、ますます手続きが億劫となる、という負の連鎖が生まれることも珍しくはありません。

 

【相続登記は必ずしなければならない】
今回この法案が可決され法律として施行されると、相続登記は義務となり、上述のような複雑化した相続登記においても、現在の相続人は登記手続きを進めなければならなくなります。

 

【住所変更登記の義務化】
相続登記の義務化と合わせ、登記簿謄本上の所有権登記名義人の住所変更登記についても義務化される予定とのことです。
不動産の所有者不明原因が、所有権登記名義人の住所変更登記をせず、放置していることにもあるからです。
住民基本台帳ネットワークシステムを活用し、法務局で所有権登記名義人の住所変更を把握すると、その住所変更登記を法務局も行えるようになります。
これまでは、転居により住所が移転した場合、住民票の転出入は滞りなく行っても、登記簿謄本上の所有権登記名義人の住所との連動はしておらず、名義人からの変更登記がない限り、登記簿謄本上の住所は旧住所のままとなっていました。

 

【相続登記、住所変更登記の改正法案内容】
現段階での改正法案の内容としては、ざっくりと以下の通りです。

①相続登記の義務化
・登記の期限:相続人であること、および相続財産に不動産があると知ってから3年以内
・違反した場合の罰則:10万円以下の過料

②住所変更登記の義務化
・登記の期限:住所変更を行ってから、2年以内
・違反した場合の罰則:5万円以下の過料

法律施行後には、法務局において、住民基本台帳ネットワークシステムを使用し、被相続人の情報や住所変更内容が分かるようになります。
また、登記官が被相続人の死亡情報を職権において示したり、所有権登記名義人の同意を前提とし、住所変更ができるようにもなるということです。

 

【その他の制度、仕組み】
もし、相続をした土地の管理が難しい、たとえば原野や山林等、相続人にとっては不要であるような相続不動産については、一定条件を満たせば、土地を国に返納できる仕組みも導入される予定です。
その他、複数名が共有で不動産を所有している場合で、その中の一人でも所在等が不明で相続手続きの協力が得られない場合、現行では、相続手続き自体が難しく、その後の売却も不可能です。
しかしながら、今回施行される法律では、裁判所が当該不動産登記内容等を確認の上、公示し、所在不明者以外の共有者の同意が得られる場合は、売却ができる制度も導入される予定です。

 

【相続登記の義務化等についての専門家としての意見】

基本的には、相続登記が義務化されることにより、良い面が多いかと思います。我々にご依頼がくる案件の中には、相続が次々に発生しており、相続人の確定や遺産分割協議の成立が難しくなり不動産が塩漬けになってしまっているケースもあります。相続が発生したごとに適切に処理されていれば、その不動産は売却することができたりしていたケースもあります。相続登記の義務化がもっと早い段階で運用されていたのであれば、このようなケースに陥らなかったであろう場合も存在するとつくづく思ってしまいます。相続登記を義務にしていなかったことが、所有者不明土地、空き家の問題や塩漬け不動産の問題につながっていったことは事実だと思います。

 ただ、やはり相続登記を義務化することによって、財産的価値が低い宅地以外の土地についても相続登記が義務化されることになりますので、この場合には、手続きに費用が掛かってしまうことも国民にとっては負担になってしまうとも思います。

 

いずれにしても、相続が発生したら速やかなる相続登記をすることが、原則的な対策となります。
現時点で、まだ相続登記をされていない不動産があれば、今のうちに相続登記をしておくと、次の相続が発生した場合に手続し易くなります。逆に言えば、残してしまうことで、次の手続きができなくなってしまうことも多いです。2世代にわたって相続登記がなされていない場合には、遺産分割協議は苦労することになることが多いと言えるかと思います。


人生100年時代と言われますが、日本における少子高齢化はどんどん進行しており、今後ますます、相続対策の重要性が増すことは想像に難くありません。

今回も最後までお読み頂きありがとうございました。


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