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【ステップ別】相続登記の手続きの流れとは?必要な書類も解説

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【ステップ別】相続登記の手続きの流れとは?必要な書類も解説

【ステップ別】相続登記の手続きの流れとは?必要な書類も解説

2024/06/28

「相続登記をしたいけど、手続きの流れがわからない」「相続登記はどうやって進めればいいの?」と疑問に思ったことはありませんか?

相続登記は、手続きの流れやどの書類が必要なのかを理解しなければ、スムーズにおこなうことはできません。そこでこの記事では、以下の内容を解説しています。

 

  • 相続登記の概要
  • 【ステップ別に解説】相続登記を進める流れ
  • 相続登記の2つの方法
  • 相続登記で必要になる書類

 

この記事を読むことで、相続登記の流れや必要な書類がわかります。相続登記の流れや進め方について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

    1.そもそも相続登記とは?

    相続登記とは、亡くなった人(被相続人)が所有していた不動産の名義を、相続人に変更する手続きです。

    不動産の所有者情報は、法務局で管理されている登記簿に記録されています。そして、不動産を相続した人は、「相続を原因とする所有権移転登記」(つまり相続登記)を申請しなければなりません。

    たとえば、父親名義の不動産を子どもが相続した場合、子どもはその不動産所在地を管轄する法務局に所有者移転登記を申請し、名義を父親から自分に変更する必要があります。

    関連記事:相続登記とは?なぜやる必要があるのかわかりやすく解説

     

    1-1.2024年4月から相続登記が義務化された

    従来、相続登記は任意の手続きでしたが、2024年(令和6年)4月1日から、相続登記が義務化されました。よって、不動産を相続したことを知った日から3年以内に、相続登記を完了しなければなりません。

    相続登記の義務化の背景には、「所有者不明の土地増加問題」があります。相続登記がされず所有者不明のままの土地が増えると、公共開発や不動産取引の停滞を招くといったデメリットが多いです。そのため、相続登記義務化により所有者を明確にしようというのが今回の目的です。

     

    1-2.相続登記を放置するデメリットやリスク

    相続登記義務化以降の内容も踏まえ、相続登記を放置するデメリットとして以下のような点が挙げられます。

    • 罰則・過料が発生する
    • 不動産の売却が進まない
    • 不動産を融資の担保にできない
    • 相続が複雑化する
    • 不動産の権利を主張できない
    • 賃料を受け取れない可能性がある
    • 他の相続人によって勝手な行動をされる
    • 遺産分割協議の進行が複雑になる
    • 保険金の支払いがスムーズに進まない
    • 不動産が管理不行き届きになる

     

    相続放棄を放置するリスクについては以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
    関連記事:【相続登記義務化以降】相続登記をしないとどうなる?リスクを解説

    2.【ステップ別に解説】相続登記を進める流れ

    相続登記は、大まかに以下5つの流れで進める必要があります。

     

    1. 相続対象となる不動産を確認する
    2. 被相続人・相続人の戸籍と戸籍附票を取得する
    3. 不動産を相続する人を決定する
    4. 相続登記に必要な書類を作成・準備する
    5. 管轄する法務局へ申請する

     

    一つずつ解説していきます。

    2-1.ステップ①相続対象となる不動産を確認する

    まず、亡くなった人が所有していた不動産の状態や権利関係を確認する必要があります。

    登記事項証明書(登記簿謄本)上で確認可能ですが、手元になければ管轄の法務局で入手し、調べることも可能です。また現在は、オンラインでの閲覧や申請も可能になっています。

    不動産は、土地と家屋に分けて登記されているため、それぞれの所有者を確認してください。土地は、一つのまとまった敷地として利用されていても、登記簿上では複数の筆に分かれていることがあり、一筆ずつ確認が必要です。(「筆」とは土地を数えるときの単位です。)

    家屋については、床面積や構造、建物の種類などの詳細を確認しましょう。

    また、亡くなった人の所有物が配偶者や他の親族との共有名義になっている場合は、その持分を確認する必要があります。

    このように、相続の対象となる不動産の正確な情報を把握することが重要です。

     

    2-2.ステップ②被相続人・相続人の戸籍と戸籍附票を取得する

    不動産の名義人が判明したら、次に遺産の相続関係を正確に把握してください。遺言書がない場合、相続登記は法定相続人全員で手続きをおこなわなければならないからです。

    相続関係を確認するために、戸籍謄本や改製原戸籍、除籍謄本、附表などの書類が必要となります。これらの書類には、被相続人の出生から死亡までの情報が記載されています。

    必要な書類は状況によって異なりますが、被相続人の本籍地の市区町村役場で発行可能です。遠方からの取り寄せもできます。

     

    2-3.ステップ③不動産を相続する人を決定する

    遺言書がある場合は、書かれている内容に従って不動産の相続人を確認します。

    遺言書がない場合は、相続人による遺産分割協議で不動産の引き継ぎ先を決定することになります。相続人全員で話し合い、合意した内容を遺産分割協議書にまとめ、署名・捺印まで済めば遺産分割協議の完了です。

    協議書の内容に基づき、不動産を引き継ぐ人が相続登記の準備を進めていくことになります。

    なお遺産分割協議では、家族間の仲が悪かったり協力してくれない相続人がいたりすることで長引く可能性があります。余裕を持って進めることをおすすめします。

    関連記事:相続手続きに協力してくれない人がいる場合の対処法

     

    2-4.ステップ④相続登記に必要な書類を作成・準備する

    相続登記には、被相続人の戸籍関係書類や、相続人に関する書類、対象不動産の固定資産評価証明書など、多数の書類が必要になります。

    これらの書類は、法務局のホームページで様式をダウンロードし、記載例に従って作成しましょう。

    また、法定相続情報証明制度を利用して、相続関係が一目で分かる一覧図を作成することもできます。相続登記のほか、金融機関の手続きでも活用できる便利な書類です。

    書類の準備が整えば、いよいよ管轄の法務局へ申請する段階に進みます。

     

    2-5.ステップ⑤管轄する法務局へ申請する

    書類が全て揃ったら、管轄の法務局に登記申請をおこないます。

    「法務局の窓口に直接提出する方法」と「郵送による方法」の2つが主な方法ですが、現在では「オンラインでの申請」も可能です。

    参考:不動産の所有者が亡くなった(相続の登記をオンライン申請したい方):法務局

     

    郵送による申請をおこなう場合は、重要書類なので必ず書留や赤色レターパックなどの配達記録が残る方法で送付するようにしましょう。

    これで相続登記の手続きは完了となります。所有権の移転が完了し、不動産の名義が相続人に変更されます。

    3.相続登記には2つの方法がある

    相続登記には、相続する人数によって以下2つの方法に分けられます。

    • 単独登記(1人の相続)
    • 共有登記(2人以上の相続)

     

    それぞれ見ていきましょう。

    3-1.単独登記(1人の相続)

    単独登記は、遺言または遺産分割協議によって、被相続人が所有していた土地・建物を1人が相続する場合におこなわれます。所有者が1人となるため、以降の判断や手続きが比較的スムーズに進められます。

    たとえば、相続した土地・建物を担保に融資を受けたり、売却したりすることが1人で決められるなど、柔軟な対応が可能です。

     

    3-2.共有登記(2人以上の相続)

    遺言や遺産分割協議によって、兄弟姉妹などが共有で不動産を引き継ぐ場合は、共有登記となります。

    この場合は、それぞれの持分(所有割合)を明記して登記します。たとえば、子ども2人で半分ずつを相続する場合、それぞれの氏名とともに割合を「持分100分の50」という形式で記載します。

    共有名義で登記する際も、司法書士に依頼して同時に登記の申請をおこなうことが可能です。

    ただし、共有名義では次の相続時に権利関係が複雑化したり、売却・活用の際に合意が必要になるなど、デメリットもあります。そのため、できる限り単独登記を選択することが望ましいです。

     

    4.相続登記で必要になる書類

    相続登記をおこなう際は、以下8つの書類を準備してください。

     

    • 登記申請書
    • 登記簿謄本
    • 遺産分割協議書(もしくは遺言)
    • 被相続人の出生時〜死亡時までの戸籍謄本
    • 被相続人の住民票の除票
    • 法定相続人全員の戸籍謄本と住民票
    • 法定相続人それぞれの印鑑証明書
    • 固定資産評価証明書

     

    詳しく解説します。

    4-1.登記申請書

    登記申請書は、法務局のホームページからダウンロード可能です。状況に応じた申請書の種類を確認し、記載例を参考に必要事項を記入し作成してください。

    参考:不動産登記の申請書様式について:法務局

     

    4-2.登記簿謄本

    相続登記の対象となる土地・建物の現状を確認するため、その登記事項証明書(登記簿謄本)を用意する必要があります。この登記簿謄本には、所在地や表示、所有者情報など、申請書に記入する重要な情報が記載されています。

    自宅に登記簿謄本がない場合は、管轄の法務局にオンラインや郵送で申請し取得することが可能です。

     

    4-3.遺産分割協議書(もしくは遺言)

    遺言による相続の場合は、遺言書を用意してください。遺言書の種類によっては、家庭裁判所の検認済証明書なども必要となります。一方、遺産分割協議による相続の場合は、相続人全員の実印が押された遺産分割協議書と、各相続人の印鑑証明書を提出します。

    なお、相続人が1人で遺言書もない場合は、これらの書類は不要です。

     

    4-4.被相続人の出生時〜死亡時までの戸籍謄本

    最後に、被相続人の出生から死亡に至る戸籍情報を確認するため、戸籍謄本を用意します。まずは死亡時の戸籍謄本を入手し、その戸籍の移動履歴を確認して、遡って出生時までの戸籍謄本を取得してください。なかなかに骨が折れる工程ですが、重要な書類のためしっかり準備するようにしましょう。

    また高齢の被相続人の場合、戸籍が改正されている可能性があるため、改製原戸籍謄本も必要となることがあります。

     

    4-5.被相続人の住民票の除票

    被相続人の最後の住所地の役所で、住民票の除票を入手してください。

    他の市区町村へ転出したり、死亡などにより住民登録が消除等された住民票を「住民票の除票」といいます。

    「住民票の除票」の写しには、住民票に記載されている事項(氏名、生年月日、住所、個人番号など)の他に、転出の場合には転出先の住所と異動年月日、死亡の場合には死亡年月日が記載されています。

    引用:大阪市:住民票の除票の取り扱いについて

     

    住民票の除票も、相続登記を進めるうえで必要となる重要な書類です。

     

    4-6.法定相続人全員の戸籍謄本と住民票

    法定相続人全員の戸籍謄本と住民票を集める必要があります。それぞれの本籍地の役所から、戸籍謄本を取得します。

    また、法定相続情報証明制度を利用する際は、それぞれの相続人の住民票も必須です。

     

    4-7.法定相続人それぞれの印鑑証明書

    遺産分割協議によって相続する場合、相続人全員の実印が必要となります。また、実印が登録されていることを証明する印鑑証明書を、各相続人が自身の印鑑登録先の役所から入手する必要があります。

     

    4-8.固定資産評価証明書

    相続の対象となる不動産の固定資産評価証明書を取得します。固定資産評価証明書は、登録免許税の計算に必要な書類です。

    不動産が所在する地域の役所や税務署などで発行をしてもらいましょう。

    5.相続登記は司法書士へ依頼するのがおすすめ

    相続登記の手続きは、法律の知識や手続き経験が求められる複雑な作業です。そのため、多くの場合、司法書士に依頼するのがおすすめです。

    司法書士に依頼する主なメリットは以下の通りです。

     

    • 必要な書類の準備から申請手続きまでの全てをサポートしてくれる
    • 相続関係の整理や遺産分割協議書の作成など、専門的なアドバイスが得られる
    • 法務局への提出書類の不備がなく、スムーズな登記申請が期待できる
    • 相続人間のトラブル防止にも貢献してくれる

     

    特に、相続人が複数いる場合や、遺産分割に課題がある場合は、司法書士に依頼すると非常に便利です

    相続登記を検討しているなら、ぜひ司法書士に相談することをおすすめします。

    5-1.相続登記で必要になる費用の項目

    相続登記を司法書士に依頼するとなったときに気になるのが、必要になる費用の項目ではないでしょうか。

    相続登記を司法書士に依頼した場合は、司法書士報酬のほかに「登録免許税」がかかります。

    5-1-1.登録免許税

    相続登記を行う際には、登録免許税の支払いが必要となります。登録免許税の金額は、取得した不動産の固定資産税評価額に応じて算出されます。

    具体的な計算方法は以下の通りです。

     

    • 土地の登録免許税 = 土地の固定資産税評価額 × 4 ÷ 1000
    • 建物の登録免許税 = 建物の固定資産税評価額 × 4 ÷ 1000

     

    この金額の収入印紙を法務局で購入し、登記申請書に貼付して提出してください。

    登録免許税は不動産の取得方法によって異なるため、正確な金額を事前に確認しておくことが大切です。

     

    5-1-2.司法書士報酬

    相続登記の手続きは自分で進めることも可能ですが、司法書士に依頼することが一般的です。司法書士に依頼する場合、必要書類の入手から申請書の作成、法務局への提出まで、一連の手続きをスムーズにおこなえます。

    司法書士の報酬は平均6万~10万円程度ですが、登記する不動産が複数あったり、法務局が数か所にわたる場合などは高くなる可能性があります。

    そのため、事前に見積もりを取って、報酬の金額を確認しておくのがおすすめです。

     

    6.まとめ

    相続登記は、以下5つの流れで進んでいきます。

     

    1. 相続対象となる不動産を確認する
    2. 被相続人・相続人の戸籍と戸籍附票を取得する
    3. 不動産を相続する人を決定する
    4. 相続登記に必要な書類を作成・準備する
    5. 管轄する法務局へ申請する

     

    相続登記の流れは複雑なところが多く、書類をすべて用意するのも一苦労です。

    もし手続きの対応に時間が取れない場合は、司法書士へ依頼するのもおすすめです。司法書士であれば、豊富な知識と経験から相続登記の申請を手厚くサポートしてくれます。

    司法書士法人・行政書士鴨川事務所では、相続登記をはじめとした相続に関するお問い合わせを随時受け付けております。相続で不安に感じていることや悩みなど、1人で抱えこまずにぜひ私たちへご相談ください。

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