相続登記は自分でできる?必要書類とスムーズに手続きする方法を解説
2024/08/01
「親が死亡したら不動産を相続するが、登記の申請が詳しくわからない」
このような悩みを抱えており、具体的な申請方法を知りたいと思っていませんか。
また弁護士や司法書士に依頼せず、自分で手続きはできないかと感じている人もいるでしょう。今回はその悩みを抱えている人に向けて、以下の内容を詳しく紹介します。
- 相続登記は自分でできるのか
- 相続登記を自分でしても問題ない場合
- 相続登記を自分でするのをおすすめしない場合
- 自分で相続登記を行うプロセス
- 相続登記における必要書類
ここで紹介する内容を参考にしつつ、不備なく手続きを終えられるようにしましょう。
目次
1.相続登記は自分でできるのか
相続登記は、司法書士や弁護士の資格がなくともできる手続きです。手続きの際には、相続人が法務局に申請する必要があります。ここでは、相続登記を自分でするメリットとデメリットを解説しましょう。
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1-1.相続登記を自分でするメリット
相続登記を自分でするメリットは、費用を削減できる点です。登録免許税や相続税などの負担を考えると、なるべく出費を抑えたいと考える人もいるでしょう。弁護士や司法書士へ依頼するとなれば、費用が10万円を超える場合もあります。
とはいえ金額は、どのサービスを依頼するかによって細かく変わります。司法書士事務所によっては、登記申請のみの依頼も可能です。
1-2.相続登記を自分でするデメリット
自分で相続登記してしまうと、手続きに不備が生じやすくなります。特に注意したいポイントは、登記漏れが生じることです。
一戸建て住宅を所有していた被相続人が、敷地以外の私道にも所有権を持っているケースがあります。
この部分の登記をし忘れても、第三者へ売却できなくなることが考えられます。特に私道や共有部は登記漏れが起こりやすいので注意してください。
2.相続登記を自分でしても問題ない場合
相続登記は、正確性を求めるのであればなるべくプロに依頼したほうが賢明です。相続関係が「被相続人の配偶者や子どものみ」などとシンプルであれば、比較的対応しやすうえに、手続きが依頼者にとって合っているのかを司法書士が診断できるためメリットが大きいです。
とはいえシンプルな手続きでも、法務局と何度もやり取りすることは考えられます。平日でも問題なく連絡を取り合え、必要書類をすぐに集められる環境は必要です。
また現代では、相続登記をオンラインでも申請できます。そのため以前よりも自分でできる環境は整っているでしょう。
3.相続登記を自分でするのをおすすめしない場合
相続登記を自分でしないほうがよいケースは、相続人同士の仲が悪いときです。相続登記は相続人全員分の書類を提出しなければなりません。
仮に相続人の仲が悪いと、手続きに関する協力が得られない場合もあります。弁護士や司法書士が仲介に入ることで、こうしたトラブルを緩和しやすくなります。
また相続財産となる建物が遠方にあるときも、自分での手続きをおすすめしません。住んでいる場所が親と離れているものの、その実家を相続するケースもあるでしょう。
しかし相続登記は、建物が存在する地で手続きしないといけません。仮に不備があれば遠くの地に出向いての対応が必要なため、自分だけでおこなうのは限界があります。自分で手続きを進めてみて、実は内容に問題があったなんてこともあり得ます。
ほかにも遺産分割の内容が複雑であったり、スムーズに終わらせたりしたいのであれば司法書士や弁護士に頼りましょう。
4.自分で相続登記をおこなうプロセス
自分で相続登記する場合のプロセスは、大きく4段階に分けられます。
- 相続人の調査
- 不動産の特定
- 遺産分割協議(必要がある場合)
- 必要書類を集めて申請
各プロセスで必要となる手続きを紹介しましょう。
4-1.相続人を調査する
最初にしなければならないのが、相続人の調査です。相続人の順番は大きく分けて3つ存在します。
順位 | 相続人(被相続人から見た) |
第一順位 | 子 |
第二順位 | 父母 |
第三順位 | 兄弟 |
※配偶者は常に相続人となる
仮に子ども全員が相続放棄して第一順位がいない場合、被相続人の父母(第二順位)が相続人となります。
また被相続人が再婚しており、前配偶者との間で子どもがいる場合はその子も相続の対象です。一方で遺言により、相続人や法定相続分も変わるケースがあります。
これらのルールを全て押さえたうえで、誰が相続人になるかを入念に調査してください。
4-2.相続財産となる不動産を特定する
相続財産となる不動産も、相続人らで特定しなければなりません。主な確認方法として、以下の3つが挙げられます。
固定資産税課税証明書
名寄帳
登記簿謄本
最も手軽に不動産を調べられる方法が、固定資産税課税証明書の確認です。こちらの書類は、毎年自治体から固定資産税の納税通知書と併せて送られます。
ほかにも自治体の窓口に赴き、名寄帳を請求するといった方法があります。登記簿謄本は、建物の所在地を管轄する法務局で取得可能です。
4-3.遺産分割協議をおこなう(法定相続分に従わない・遺言がない場合)
被相続人の遺言がなければ、遺産分割協議で相続の内容を決めましょう。基本的に民法で相続分は決まっていますが、遺産分割協議では法定相続分と異なる形で遺産を引き継ぐことも可能です。
後に揉め事が起こらないよう、相続人全員でしっかりと話し合ってください。協議の内容は、遺産分割協議書で詳しくまとめる必要があります。
4-4.必要書類を集めて法務局に申請
遺産分割協議がまとまったら、法務局で相続登記の申請をします。申請方法は3通りあるので、一番確実に手続きできそうなものを選んでください。
- 法務局の窓口に赴く
- 郵送で申請書および必要書類を提出
- オンライン申請
インターネットの環境が整っているのであれば、オンライン申請が最も手軽です。ただし担当者と確認しながら手続きしたい場合は、実際に窓口へ赴いたほうがよいでしょう。
申請に不備があるときは、後日担当者から連絡が来るのでしっかりと対応してください。
5.相続登記における必要書類
相続登記の申請における必要書類は以下のとおりです。
- 登記申請書および相続関係説明図
- 戸籍謄本(被相続人・相続人全員分)
- 住民票(被相続人・相続人全員分)
- 固定資産税評価証明書
- 遺産分割協議書と印鑑証明書
場合によっては、追加で必要となる書類もあります。詳しい内容は、各法務局の情報をしっかりと調べてください。ここでは、一般的に必要となる書類について紹介します。
5-1.登記申請書・相続関係説明図
相続登記を完了させるには、登記申請書の提出が必要です。こちらは法務局で、相続の内容ごとに様式を用意しています。郵送やオンライン申請の場合は、法務局のサイトから様式をダウンロードしましょう。
登記申請書には、課税価格や不動産の地積・床面積といった細かい情報も記載しなければなりません。これらの情報は、固定資産税評価額証明書や土地・建物の全部事項証明書を確認してください。
併せて相続関係説明図を提出し、相続人らの親族関係もしっかりと伝えましょう。相続登記の親戚のみならず、遺産分割時の相談にも活用できます。相続関係説明図には決まった書式はありませんが、法務局でテンプレートも用意しているので参考にしてください。
5-2.被相続人・相続人の戸籍がわかる書類
登記申請書と併せて添付しないといけない書類のひとつが、被相続人と相続人の戸籍謄本(除籍謄本)です。
被相続人については、出生から死亡するまでに在籍していた全ての情報が必要となります。まずは最後の戸籍を調べて、そこから遡る形で全ての戸籍謄本を揃えましょう。
加えて相続人全員の記載がなされた戸籍謄本も添付しなければなりません。こちらは、被相続人が亡くなったあとに発行された書類であることが条件です。
本籍地の自治体で入手しましょう(戸籍謄本:1通450円程度、除籍謄本:1通750円程度)。
5-3.被相続人・相続人の住民票(除票)
住民票(除票)も、基本的に被相続人と相続人全員分が必要です。
しかしすでに亡くなっている親族の場合、現在住んでいる人とは別に除票が作られます。被相続人の分は、住民票除票か戸籍の附票を添付してください。
法定相続人に関しては、実際に不動産を引き継ぐ人のみの住民票を提出します。これらは住所を置いている自治体で手続きが可能です(1通300円程度)。
5-4.固定資産税評価証明書
毎年自治体から送付される固定資産税評価証明書も必要書類のひとつです。上述したとおり、こちらの書類は固定資産税の納税証明書と併せて送られます。
登記申請をする日の属する年度の分を添付してください。
5-5.遺産分割協議書と印鑑証明書
遺産分割協議書が必要になるのは、あくまで遺産分割協議で相続人を決めたときです。法定相続分に則ったり、遺言で決めたりした場合は提出する必要がありません。
また遺産分割協議書を完成させるには、相続人全員分が実印で押印しなければなりません。そこで印鑑が自治体に登録されているのを証明すべく、法定相続人全員分の印鑑証明書も併せて提出します(1通300円程度)。
6.相続登記を自分で進める自信がないときは専門家に相談しよう
相続登記の手続きは、シンプルなものであれば素人だけでも対応可能です。とはいえ登記を簡単にできるかどうかは、手続きに着手してみないとわかりません。
自分では問題なく申請できたつもりでも、記載漏れがあって何度も修正を求められる場合もあります。もし自信がないときは、司法書士や弁護士といったプロを頼りましょう。
彼らに依頼すれば、どのような手続きが必要かを詳しく教えてくれます。特に弁護士は登記にかかわらず、遺産分割協議で揉めた場合にも対応できます。
費用については法律事務所・司法書士事務所ごとに異なるので、なるべく複数のところから見積もりをもらうとよいでしょう。
無料相談も上手く利用しつつ、最も信頼できそうな司法書士や弁護士と契約を結ぶのをおすすめします。
7.まとめ
相続登記を自分でするのも、メリットとデメリットがあります。司法書士や弁護士に任せるべきかは人によって異なりますが、メリットとデメリットを見比べたうえで決めたほうが賢明です。
相続登記の申請自体は、時代が進むごとに少しずつ簡易化されています。とはいえ登記自体が極めて専門的であり、初めて手続きする人も一定数いるでしょう。スムーズに申請を完了させるには、法務局や弁護士事務所の発信も入念にチェックしてください。
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