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相続放棄は親戚に迷惑がかかる?手続きで押さえたいポイントを解説

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相続放棄は親戚に迷惑がかかる?手続きで押さえたいポイントを解説

相続放棄は親戚に迷惑がかかる?手続きで押さえたいポイントを解説

2024/10/31

相続放棄は、被相続人の資産を受け継ぎたくない人にとって有効な手段の一つです。しかし自身が手続きすることで、他の親戚にも迷惑がかからないかを不安に感じる人もいるでしょう。

そこでこの記事では、相続放棄をしようか迷っている人に向けて次の内容を解説します。
 

  • 相続放棄自体は迷惑がかからない
  • 相続放棄で親戚に迷惑がかかるケース
  • 迷惑かけずに相続放棄する方法
  • 相続放棄したほうがよい理由
  • 司法書士に依頼したほうがよい理由


相続放棄のメリットだけではなく、正しい手続きについても理解できる記事です。

目次

    1.親戚全員に迷惑がかかるわけではない

    前提として、相続放棄は親戚全員に迷惑がかかるものではありません。そもそも「親戚」という概念は幅広く、相続においてもある程度の線引きが存在します。

    一般的に相続に関わる親戚は、被相続人から見た直系尊属または兄弟姉妹です。

    ただし代襲相続により、自身の孫や甥姪(兄弟姉妹の子)に相続権が移るケースもあります。そのためこれらの人々には、相続放棄をする際に迷惑がかかる可能性があります。

    2.相続放棄で親戚に迷惑がかかるケース

    相続放棄は、プラスの財産だけではなくマイナスの財産も手放す手法です。相続放棄によって親戚に迷惑がかかるのは、主に以下のようなケースです。
     

    • 他の親戚に相続権が移るケース
    • 相続権を持たない親戚が連帯保証人であるケース


    具体的に解説していきます。
     

    2-1.他の親戚に相続権が移るケース

    自身が被相続人の子である場合、第一順位として優先的に相続する権利が得られます。自身に兄弟姉妹がいない、もしくは全員が放棄したときは他の親戚に相続権が移ります。第二順位以降の関係は次のとおりです。
     

    第二順位:(被相続人の)直系尊属
    第三順位:(被相続人の)兄弟姉妹

     

    つまり被相続人が多額の借金を抱えていると仮定し、それを相続放棄したら他の親戚に負担がかかります。第二順位や第三順位の者に連絡せず、隠れて手続きすれば迷惑がかかることも考えられるでしょう。
     

    2-2.相続権を持たない親戚が連帯保証人であるケース

    本来は相続権を持たない親戚が、被相続人の連帯保証人になっているケースでも注意が必要です。多額の負債を相続人が放棄したとなれば、債権者は連帯保証人に弁済を要求するでしょう。

    仮に親戚が全額を支払ったとしても、主たる債務者の相続人がいなければ求償できなくなります。結果的に連帯保証人に責任を押し付ける形となってしまいます。

    3.迷惑がかかっても相続放棄したほうがよい場合

    相続放棄は、自分自身の生活を守るうえでも重要な手続きです。ここではたとえ迷惑がかかっても、優先的に手続きしたほうがよいケースを解説します。
     

    3-1.被相続人の負債があまりにも多い

    相続放棄したほうがよいケースとして挙げられるのが、被相続人の負債があまりにも多い場合です。多額の借金を抱えている被相続人の財産を相続すると、自身が債務を履行しなければなりません。今後の生活にも多大な負担がかかるでしょう。

    相続放棄の手続きが完了すれば、債務を引き継ぐ義務もなくなります。債権者の取り立てからも逃れられるため、多額の借金が判明したらなるべく相続放棄を選んだほうが賢明です。
     

    3-2.遺産分割協議に参加したくない

    相続トラブルに巻き込まれたくない人も、相続放棄の手続きをしたほうが望ましいでしょう。相続放棄を選択しない場合は、他の相続人と遺産分割協議を経なければなりません。

    しかし遺産分割協議は揉めるケースもあり、予想以上に労力がかかる可能性も。また相続人全員がいないと遺産分割協議を開催できないため、親族と疎遠でも参加が義務付けられます。

    はじめから相続するつもりがないのであれば、むしろ相続放棄したほうが他の親族にも迷惑がかからないでしょう。

    4.親戚に迷惑かけずに相続放棄する方法

    親戚にできるだけ迷惑をかけずに相続放棄するには、以下に挙げた方法を試してみてください。

    • 相続放棄の旨を親戚に連絡
    • 相続財産調査をしっかりとおこなう
    • 相続放棄にかかる費用を負担する
    • 限定承認も検討する


    それぞれ解説していきます。
     

    4-1.相続放棄の旨を親戚に連絡

    相続放棄を検討するのであれば、相続人となりうる親戚にしっかりと連絡を取ってください。

    黙って相続放棄すると、他の親戚も準備ができなくなります。たとえ家族や親戚と疎遠でも、できる限り意思を伝えましょう。

    特に相続放棄の場合、自身が相続人となったことを知った日から3ヶ月以内に手続きを完了しなければなりません。手続きは複雑な部分も多く、相続人らは前もっての準備が必要です。

    被相続人が多額の借金を抱えているケースでは、全員がしっかりと相続放棄できるようにするのが望ましいでしょう。
     

    4-2.相続財産調査をしっかりとおこなう

    親戚に迷惑がかからないようにするには、相続財産調査もしっかりとおこなわないといけません。相続財産調査とは、被相続人にどのくらいの資産や負債があるかを調べる手続きのことです。

    被相続人が、他の家族に黙って借金を抱えているケースもないとは言い切れません。親戚が何も知らずに相続したところ、多額の借金が残っているのが判明して債務履行に追われることも考えられます。

    反対に借金を全て弁済できるほどの資産を被相続人が持っている場合もあります。他の親戚に迷惑をかけないためには、相続放棄をする前に被相続人の財産状況を具体的に伝えるようにしましょう。
     

    4-3.相続放棄にかかる費用を負担する

    迷惑をかけない方法として、手続きにかかる費用の負担も挙げられます。相続放棄をするには、印紙代や戸籍謄本の発行などの費用を払わないといけません。

    加えて相続権を持った他の親戚が、手続きを司法書士や弁護士に任せるのであれば、相談料や着手金等も発生します。当該費用は高額に上るケースが多いため、負担するのが苦しいと感じる人がいても無理はありません。

    このように親戚らの相続放棄にかかる費用を負担すれば、トラブルを防げる可能性も高まるでしょう。自身の相続放棄を反対されるリスクも減るので、資金に余裕のある場合は検討してみてください。
     

    4-4.限定承認も検討する

    相続放棄で迷惑をかけないためには、限定承認を検討するといった方法もあります。限定承認とは、プラスの財産の範囲でマイナスの財産も引き継ぐ手法です。

    資産より負債が多かったとしても、全額とまではいきませんがある程度の借金を減らせます。この場合は資産がゼロとなりますが、負債の部分については引き継ぐ必要もありません。

    ただし限定承認をするには、相続人全員が共同で手続きしなければなりません。こちらも相続放棄と同様に、3ヶ月以内に申し立てが必要です。

    そのため相続人全員の意見が合わないと、申請期限に間に合わなくなります。手続きも複雑であり、申し立てに間に合っても無事に完了するまで1〜2年かかることもあるでしょう。

    5.相続放棄をするときは司法書士を頼ろう

    相続放棄の手続きは、素人一人でもできないわけではありません。しかし手続きを確実に済ませたいのであれば、早い段階で司法書士に依頼したほうが賢明です。ここでは司法書士に依頼するメリットを紹介します。
     

    5-1.複雑な手続きをほとんど任せられる

    司法書士に依頼すれば、複雑な手続きをほとんど任せられます。
    相続放棄をするには、通常次の書類を揃えなければなりません。
     

    • 申述書
    • 申述人の戸籍謄本
    • 被相続人の戸籍謄本(出生から全部のもの)
    • 他の血縁関係者の戸籍謄本
    • 被相続人の住民票除票や戸籍附票


    申述書には、資産や負債の詳しい情報も記載する必要があります。司法書士に依頼すれば、申述書の正しい記入方法を詳しく教えてくれます。手続きの不備も最小限まで抑えられるでしょう。
     

    5-2.期限内に手続きが完了できる

    司法書士に依頼すれば、手続きを期限内に完了できます。

    上述したとおり相続放棄は手続きが複雑であり、何から手を付ければよいか分からなくなる人もいるでしょう。司法書士に相談すれば、どのような手続きが必要かを具体的に教えてくれます。

    また3ヶ月以内での手続きが間に合わなそうなときも、司法書士を頼るのがおすすめです。原則として相続放棄は3ヶ月以内に済ませないといけませんが、上申書の提出により期限後の手続きが認められることもあります。

    司法書士に相談しておけば、上申書の作成もサポートしてもらえます。
     

    5-3.弁護士よりも低価格なケースが多い

    司法書士に依頼すると、弁護士よりも費用が低くなりやすいといったメリットがあります。両者の対応可能な業務について表でまとめてみました。
     

      司法書士 弁護士
    対応業務

    ・必要書類の収集
    ・申述書の作成

    ※申述書の提出や照会書への回答は本人でする必要がある

    相続放棄に必要な手続きを一任できる


    司法書士のほうが低価格になりやすい理由は、対応業務に制限がかかるためです。司法書士は弁護士とは異なり、代理権がありません。したがって書類の提出は、本人が直接済ませなければなりません。

    とはいえ司法書士に依頼する場合でも、必要書類の収集や申述書の作成といった複雑な部分は対応してもらえます。あらかじめ見積書を出してもらい、その内容を見たうえで依頼先を決めましょう。

    6.まとめ

    相続放棄は、やり方によっては親戚に迷惑がかかることもあります。ただし被相続人が抱えた債務を、相続人らが無理に背負う必要はありません。仮に迷惑がかかったとしても、相続することで著しく負担がかかるのであれば相続放棄したほうがよいでしょう。

    司法書士法人・行政書士鴨川事務所では、相続放棄をはじめとした相続に関するお問い合わせを随時受け付けております。相続で不安に感じていることや悩みなど、1人で抱えこまずにぜひ私たちへご相談ください。

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