遺産分割協議書に判子を押してくれと言われた!~京都で相続相談なら京都鴨川司法書士・行政書士事務所~
2021/08/12
今回は、ご兄弟さんや親族から遺産分割協議書が送られてきた場合の対処の方法についてお話をしたいと思います。
ケースとしては、父母長男次男という家族構成で、お父様がお亡くなりになった後に土地や預貯金等の解約の手続きを進めている長男から遺産分割協議書が突然次男のもとに送られてきた場合等が想像していただけるとわかりやすいかと思います。
このような場合には、いきなり遺産分割協議書が兄弟や弁護士や司法書士から送られてくるとびっくりされる方もかなり多いかと思います
対処の仕方を間違えば、問題や争いに発展することが多く、安易に判子を押したり、けんか腰で対応して取返しのつかないトラブルになりかねませんので、慎重に対応する必要があります。
ですので、判子を押す前にしっかりと内容を吟味し、場合によっては法的専門家に内容の確認を行った上で対処していきましょう
よくあるトラブルとして相談されることが多いのは、「内容をそれほど読まずに送られてきた遺産分割協議書に言われるがまま実印を押してしまった」というケースです。
書面に判子を押すという行為は、法律上、その判子を押した人の意思に基づいてその書類が作成されたという推定が働きます。具体的に申し上げますと、遺産分割協議がなされたことの証拠として、判子が押された遺産分割協議書が裁判等で書証(書面による証拠)として提出された場合、その遺産分割協議書が判子を押したものの意思に基づいて作成されたという推定が働きます。その結果、その遺産分割協議があったことを覆すことはとても難しくなってしまいます。勝手に判子を持ち出されて押された等を遺産分割協議の成立を否定するほうから証明していかないとならなくなり、とてつもなくハードルが上がってしまいます。
ですので、日本の法律上、書類に判子を押すということは、裁判上、とても強い効果が働くということを日頃から注意しておかなければなりません。
私も、銀行やその他営業マンから、判子を貸してくださいと言われることもありますが、職業柄、こういった場合にはとても注意しています。また、これも職業柄、我々の作成した書類がとても多く判子が押す箇所が多くなってしまうため、判子をお客様から預かることも少なくありません。しかし、この場合には書類の説明を丁寧に行い、面前で確認を取りながら捺印をするということを心がけています。ただ、やはり、判子は絶対に自分が押す!と決めておられる方もおられますので、そういった方の場合には、書類が多くなったとしても、ご自身で押していただいております。とても用心深くて正しい姿勢だと思います。
例えば、遺産分割協議に「父の相続財産は長男がすべて相続する」という内容の遺産分割協議書に次男が判子を押してしまうと、次男もこの遺産分割協議の内容に同意したという効力が生まれてしまい、この遺産分割協議をのちに覆すということはとても難しいことであるということです。また、このような遺産分割協議が成立すると、遺留分を放棄したという効果も生じてしまうため、のちに遺留分の請求を行うこともできなくなってしまいます。
被相続人が死亡後、相続人から遺産分割協議書が送られてきた場合には、よく内容をみて、自己の法定相続分と比較して、自分に不利な内容となっていないか、そのあたりを注意深く考察することが必要かと思います。
逆に言えば、我々専門家は、依頼者から報酬を得て遺産分割協議書の作成依頼を受けて、作成しますので、一般的には依頼者に有利な遺産分割協議となることも多いです。この遺産分割協議書にどのようにして親族から判子をもらうか等の相談や助言も行いますから、遺産分割協議書が送られてきた場合には警戒することが正解かと思います。
遺産分割協議書が送られてきた場合には、内容のリーガルチェック等も含めて専門家に頼ることもよいと思います。なんといっても、判子を押してしまうと取返しがつかないことになる場合も多いですから。
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