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配偶者居住権ってどんな権利なの?京都で相続手続きの相談なら、京都鴨川司法書士・行政書士事務所へ

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2021/08/27

 

今回は配偶者居住権の概説をしていきたいと思います。

 

聞きなれないという方も非常に多いのではと思いますが、個人的にはすごく大事な権利であると考えておりますので簡単に説明していきたいと思います。民法の改正により目玉として登場した、この配偶者居住権。まだまだ実務には浸透していませんが、私としてはニーズはかなり大きいところかと思います。

ちなみに配偶者の法定相続分については、下記のブログをご参照ください

(参考ブログリンク 配偶者の相続分について https://kyotokamogawa-souzoku.com/blog/detail/20210825170802/

 

さて、ではまず具体例からです。

 

想定される場合として、父母子の3人家族において父についての相続が発生した場合です。父の生前、家族は父が購入したマイホームに3人で生活していました。その後、父の残した財産は、マイホーム(3000万円)と現預金3000万円であったとします。母と子が相続人となるところ、どのような遺産分割を成立させることができるのでしょうか。

 

(参考リンク 遺産分割協議書の作成 https://kyotokamogawa-souzoku.com/blog/detail/20210722170628/

(参考リンク 相続財産調査の方法 https://kyotokamogawa-souzoku.com/blog/detail/20210820090045/

 

こういったご相談はとても多いです。特にこのケースでは、マイホームは将来的に考えても子に受けついでもらいたいから、マイホームは子に、ただ母としても生きているうちはそのマイホームに居住していたいし、専業主婦であったので生活費は確保したい。というニーズが多いです。

 

従来は、マイホームは子に名義変更を行い、預貯金を母にということにし、覚書や遺産分割協議の中で、終身の間、母がマイホームに居住することを承諾するといったようにいわゆる「使用貸借契約」的な権利を設定するということがなされてきたかと思います。ただし、この使用貸借契約においては、母の居住権につき、対抗力が認められていなかったがために、子がマイホームを勝ってに売却してしまった場合には、母の居住権が脅かされる可能性がありました。これでは、父の相続が開始したということにより、母は終身の間の居住先がなくなってしまう可能性がでてきてしまうのです。対抗力とは、権利が邪魔されたときに、ここには自分の権利がある!と主張できる力だとざっくり抑えていただければよいかと思います。ちなみにこの対抗力って民法上とっても重要な概念であり、とても難しいです。

 

こういった場合に備えて、配偶者居住権は、遺言や遺産分割協議(又は家庭裁判所の審判)により配偶者に配偶者居住権(長期)を相続により取得させ、終身の間の配偶者の居住権を守ってあげようという制度です。やはり、老後の生活拠点というのは、老後の大きな不安の一つでもあるかと思います。この点を解消できるものが配偶者居住権です。

 

例えば、先の父母子の家庭において父について相続が開始したときに、

 

配偶者居住権と預貯金2000万円については母に相続させ

不動産と預貯金1000万円については子に相続させる

 

といった遺産分割協議を成立させることにより、母は終身の間の居住権が確保され、老後の生活費も確保できる

子としては、マイホームももらえて、少なからず預貯金をもらえる。

 

という協議を行うことができます。

 

ここでのポイントは、マイホームの権利を配偶者居住権と所有権に分けて母と子にそれぞれ相続させることができる点です。これにより法定相続分による遺産分割を考えた場合でも、母や子に預貯金を分け分けすることができ、より遺産分割の選択肢が広がったと言えます。従来、子と母の共有名義への名義変更等を行うということもなされましたが、この場合、母の認知症等のリスクにより、不動産を塩漬けにしてしまう可能性もあります。こういった心配は配偶者居住権により回避できるのかもしれません。また、相続について相続税が発生する場合でも、配偶者居住権が例えば、相続税評価として1000万円と評価されることができれば、この評価を控除した所有権が子に相続されることになりますので、不動産を相続したことにより一方が、多くの相続税を払わなければならないといった事態も回避できるかもしれません。このあたりは税理士の先生と我々でよくよく相談しながら、遺産分割協議の内容について協議していくことになるかと思います。

 

また、もう一つのポイントは、配偶者居住権においては、その登記が対抗要件になるということです。わかりやすく言えば、登記をしておけさえすれば、他人に居住権を邪魔されるようなことがあれば、「ココは私が住んでおける権利があるのだ!」と主張し、場合によっては裁判によって訴えていくことが可能というわけです。この点、先に述べた使用貸借においては対抗要件はありませんでした。また、配偶者居住権においては、登記のみが対抗要件となりますので、建物の占有をもって対抗要件となる賃貸借とは異なるというところがポイントです。

これによって、配偶者の終身の間の居住権が守られることになります。

 

さて、長くなりそうなので、今回はここまでです。次回、配偶者居住権につき、詳細を解説していきたいと思います。

 

今回も読んでいただきありがとうございます。

 

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